こんにちは、広報担当の大関です。
豊洲えんぎものが、昨年12月17・18日に豊洲千客万来内にある江戸遊楽座のイベントスペースにて開催した、「能登復興支援プチマルシェ」の様子をご報告します。

当社は全国でミュージアムショップなどの施設内店舗を運営していますが、そのご縁で知り合ったビジネスマッチング会社のエンブリッヂ様がお声がけくださり、マルシェの開催に至りました。販売場所を持つ当社=販売場所を探している石川県の事業者様=場所と人を結びたいエンブリッヂ様の3者が、復興を目指して繋がった2日間でした。
当社では今後も、復興支援に協力していきたいと思います。
ご参加くださった、4つのお店をご紹介しましょう。
■Gibier Atelier 加賀の國 https://kaganokuni-gibier.com
小松市にある、イノシシの捕獲から解体処理・加工・販売まで一貫で手がけるジビエ肉の会社です。小松市のある南加賀地域は自然豊かでイノシシの数も多く、農林水産省が定めた安全で良質なジビエの安定供給を実現する、「ジビエ利用モデル地区」のひとつです。
国内最高水準の衛生管理施設を持っていますが、なかでも専属獣医師を置いているのが最大の特徴。内臓カラーアトラスでの確認に加え、獣医師の知識に基づいて体の内外に異常がないかを見るため、より安全なジビエ肉を提供できるのです。イノシシ肉は豚肉に比べて、カロリーや脂質はほぼ同等でありながら、鉄分4倍、ビタミンB12は3倍、コラーゲンもたっぷりで、積極的に食べない手はない有能ジビエです。

今回は「猪ジャーキー」をお持ちいただきましたが、まず口溶けの良さと脂身の甘味にびっくり。臭み消しのため香辛料が効きすぎている商品も多くありますが、こちらは塩分も香辛料も控えめでイノシシ肉の旨みだけをしっかりと味わうことができます。イノシシ肉の正しい美味しさを教えてくれる一品です。
■のとジン NOTO GIN https://www.notogin.com
珠洲市と七尾市の事業者さんは、七尾で商業施設を運営する株式会社創生ななお様がご紹介くださいました。
珠洲市からは能登の素材を用いた国内蒸留ジンの「のとジン」が出店。2023年には世界三大酒類コンテストでスピリッツ部門金賞を受賞しており、ご当地ジン好きの方ならご存知かもしれません。
今回は、SDGs観点でのボタニカルを採用していることでも話題となったオリジナル「のとジン」に加え、災害復興の願いを込めた「のとジン 願い星」、能登の里山素材を用いた微炭酸飲料の「のトニック」をお持ちいただきました

能登の素材を使っていますが、蒸溜は千葉県野田市のTL Pearce蒸溜所に委託しているため、今回の震災や豪雨による実害は少なく、こうしていち早く復興のための商品を作ることができたといいます。
オリジナル「のとジン」は能登産ボタニカルとして、珠洲市の柚子の皮と榧(カヤ)の実、能登町の月桂樹の葉と黒文字の小枝を用いていますが、「のとジン 願い星」のほうは、榧の実と黒文字の小枝に替わり、能登町のブルーベリーの枝と乾燥ワカメを使っています。
復興がキーワードですので、「のとジン 願い星」をソーダ割でいただいてみました。いわゆるジンの持つ薬臭さはごく控えめに抑えられ、ブルーベリーの甘味や海藻の旨みが引き立ち、とても軽やか。料理にも合わせやすくて、あっという間に飲み切ってしまいそうです。
■下村水産 能登かき https://www.shimomura-s.jp
牡蠣の産地として知られる能登半島の七尾市。牡蠣養殖業者の下村水産からは、「能登かきのオイル漬け」をお持ちいただきました。生牡蠣の加工には真水が欠かせませんが、震災後は断水となり何もできない状況が続いたといいます。しかし若き3代目が奮闘し、この冬も大ぶりの牡蠣を販売しています。

「能登かきのオイル漬け」はニンニク不使用で、ごま油をつかったオイル漬け。醤油と生姜の風味がアクセントとなり、お酒のつまみにも、ご飯のお供にもなる万能アイテム。元々が肉厚なので加工されても食べ応えがあり、牡蠣の旨みを堪能できます。ニンニクが入っていない分、用途が広がるのも使いやすいと感じました。最初はおつまみでそのまま、そのあとはパスタにアレンジして、旨味の滲み出たオイルまで満喫しました。
■九谷焼製香炉とお香「環香」 https://waka-ishikawa.jp
石川県を代表する伝統工芸品といえば、色鮮やかで華やかな九谷焼が有名です。その九谷焼にバッテリーによるプレートヒーターをセットした火を使わない香炉と、柑橘類や樹木類の規格外品を粉砕・プレスしてタブレット型に加工したお香のセット「環香(わか)」にもご出店いただきました。

九谷焼の香炉はなかなか簡単に手の出るお値段ではありませんが、加賀棒茶や能登ヒバ、クロモジなど、能登素材を楽しめるお香はリラックス効果が高く、興味を惹かれます。鼻と脳は場所が近いので一番効果が伝わりやすいそうですし、香りと記憶もよく結びつくもの。できれば今度、石川県を旅した時に、現地でお土産に買いたいなぁと思いました。
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「江戸遊楽座」の舞台前で開催されたこともあり、足を止めてくださるお客様も多く、また想像以上に募金にもご協力いただきました。インバウンド客などはおつりをすべて募金箱に入れてくださることもあったとのこと。商品の説明とともに、現在の状況などを現地の方から直接聞くことは、貴重な機会となったようです。

2024年1月1日の最大震度7の地震からまもなく1年という時期の開催でしたが、今回は小松、七尾、珠洲から4つのお店がご出店くださいました。
一方で、輪島など被害が大きかった地域のお店は出店できませんでした。それは、まだまだ出店できる状況に無いからだそう。輪島塗の商店にしても、崩れたお店の中に商品はあるが、瓦礫の中から取り出すことができず、出店するのはまだまだ先。こうしたマルシェに出店すれば、貴重な現金収入となりますが、まだその段階に辿り着かないため、こうして少し離れた地域、被害の少なかった地域が前進基地となり、被災地の状況を伝え、人や物やお金が流れるよう、助け合っているそうです。

私が購入したのはこちらの3つ。食べるたび、飲むたび、能登を思い、
また機会があれば次は何を買おうかなと、今から楽しみにしています
出店者の方がおっしゃっていた中で特に印象的だったのが、
「とにかく忘れないでほしいということですね。東日本大震災の被災者がそう言っているのをなんとなく聞いていたけれど、当事者になって初めてその意味がわかりました」
という言葉。忘れられてしまうこと、関心が薄れてしまうことがどれほど辛く、厳しく、復興が困難になっていくのか、身に染みてわかったそうです。
地震から1年が経ち、今年の正月に再び報道される機会も多く、地震についての記憶を新たにした方も多いのではないかと思います。忘れないこと、意識的でいることにより、募金や支援の機会を見失わずにいられるのかもしれません。
当社にとっても、支援事業にご協力するのは初の試みでしたが、能登の素晴らしい商品とご来場者様の関心の高さを知ることができました。今年はこうした機会をより多く設けて、微力ながら復興の一助となりたいと考えています。
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