こんにちは、広報担当の大関です。
展覧会情報ポータルサイト「インターネットミュージアム」にて、2010年から毎年開催している、ミュージアムのキャラクター日本一を決める「ミュージアムキャラクターアワード」。2024年は、福岡市美術館ミュージアムショップのオリジナルグッズ「こぶうしくん」が館を代表して出場し、2位と健闘しました。毎日「こぶこぶ」とXでつぶやく姿を、多くの方に応援いただき、誠にありがとうございました。

そんなこぶうしくんと、モデルとなった所蔵品「コブウシ土偶」が一緒に特別公開されていると聞き、昨年11月に福岡市美術館を訪ねてきました。

コブウシとは南アジア原産の家畜牛で、尖った背中のコブが特徴。強健で粗食に耐えるため、太古の昔から現在にいたるまで、農耕や運搬などに広く使われてきたウシです。生活に身近だったことから、インダス文明の遺跡からはコブウシをモチーフにした土偶や印章、土器などが多く出土しているそうです。


福岡市美術館に寄贈された森田コレクションの中にも6体のコブウシ土偶が含まれており、紀元前2000年ごろのパキスタンで作られたそれらは、ちょっとヘタウマな雰囲気で、驚くほどの愛らしさ。これはグッズにしない手はないということで、2019年の美術館リニューアルに際して「こぶうしくん」としてボールチェーンマスコットやぬいぐるみなどを作成しました。

ぬいぐるみをはじめ、缶バッヂやマスキングテープ、アクリルキーホルダー、
LINEスタンプなど、様々なグッズがうまれました
「こぶうしくん」の元の「コブウシ土偶」の元のコブウシ。
なんだかややこしいですが、何か愛着のあるものをかたどることを、紀元前からやっていたのだと思うと、感慨深い気がします。
今回の特別公開「コブウシ土偶の世界」は、古美術企画展示室で行われていた「僊厓展」の一区画を間借りして行われていました。

入口にもしっかり「ミュージアムキャラクターアワード 2024」2位受賞記念」
と書かれていました!


福岡市美術館で所蔵しているコブウシ土偶が一同に会し、こぶうしくんも展示室に出張。「ミュージアムキャラクターアワード」の表彰状も飾られて、まさに「おめでとう!こぶうしくんルーム」になっていました。美術館の皆さんにも愛され、応援していただき、ミュージアムグッズ冥利に尽きます。
ファンの方もたくさん訪れてくださったようで、持参したMyこぶうしくんと一緒に写真を撮ったりして楽しんでくださったようです。ありがとうございました。

ミュージアムグッズが展示室に飾られるという稀有な体験を
させていただき、こぶうしくんも緊張気味です
もちろん「僊厓展」も見応えありました。江戸時代に活躍した禅僧・僊厓義梵の作品は、ショップでもたくさんのオリジナルグッズを作成していますので、ご存じのかたも多いはず。

他の展示室では、「福かぶり猫」のモチーフとなっているレオナール・フジタ(藤田嗣治)の『仰臥裸婦』や野々村仁清の『色絵吉野山図茶壺』も見ることができました。約16,000点の所蔵品を、テーマに沿って入れ替えながら展示しているため、お目当ての作品がいつも見られるわけではないですが、それだけに見たかった作品が展示されている時はテンションも上がります。

左)ミュージアムグッズ「福かぶり猫」色絵吉野山図茶壺 右)野々村仁清『色絵吉野山図茶壺』
僊厓の筆致は想像より優しくまろやかでしたし、仁清の吉野山は絢爛豪華、フジタの猫は思っていたより小さく繊細でした。作品と出会った感動をずっと保っておきたい! というミュージアムグッズへの根源的な欲求がムクムクと湧いてくるのを感じました。
単体でも魅力的なグッズたちですが、やはり本物を見た後は原動力のパワーが違います。
ミュージアムショップは1階エントランスロビーにあります。所蔵品のオリジナルグッズや図録、福岡の伝統工芸品や焼き物の写し、地元クリエイターのグッズやデザイン性の高い海外製文具など、さまざまな商品を取り揃えています。


所蔵品をモチーフにした新商品を年間5〜10点ほどを制作しており、ラインナップは本社営業・デザイナー・店長で相談しながら決めています。お客様の構成や館のご意向、作品の著作権など多方面の問題を考慮するだけでも大変ですが、コロナや円高などでインバウンド客の構成が突如激変することもあるため、経験がものをいう仕事です。

畦地梅太郎『めぐりあい』のグッズ。山の中でカモシカにばったりめぐりあい、驚いている山男を描いています
最近のショップのおすすめ商品は、畦地梅太郎『めぐりあい』のトートバッグとクリアファイル。山岳風景を題材とした木版画で知られている畦地の作品が展示されているのを目にした店長が、 “こんな作品を所蔵しているなんて知らなかったけれど、すごく素敵!” と目をつけ、各所の許諾を取り付けて商品化しました。素朴なタッチの温かみのある版画で、お客様の反応も良いとのこと。膨大な所蔵品の中には未知の作品もたくさんあるため、展示はこまめにチェックすることも大切なんですね。
●こぶうしくんとSNSについて、店長に聞きました。
ー「ミュージアムキャラクターアワード 2024」二位受賞、おめでとうございます。出場前と後、変わったことはありますか?
ありがとうございます。「こぶうしくん、応援してます!」とか「こぶうしくんをお迎えに(買いに)きました」とお客様から声をかけていただくこともあり、出場して良かったなと思っています。
ーSNSでこぶうしくんの人気が拡大していったと思うのですが、SNSはいつごろからやっているのでしょうか?
コロナ禍、最初の休館時(2020年4月〜6月)ですね。何もすることがなくて、通販での売り上げを伸ばすためにSNSでの発信を始めました。こぶうしくんのための、というより、商品全般の宣伝目的でした。
ーこぶうしくんの人気に火がついたのはいつごろですか?
このコブウシ土偶は、東京・池袋にある古代オリエント博物館でも所蔵していて、あちらのミュージアムショップでもこぶうしくんグッズを販売していただけることになったんです。それで知名度が上がったことに加えて、こぶうしくんファンというある有名漫画家の方がSNSでご紹介くださって、一気に400人ほどフォロワーが増えました。

古代オリエント博物館様とミュージアムショップ様とは、楽しい連携をさせていただき感謝しきりです
ーSNS上で、毎日こぶうしくんの様子が見られて、ファンの方も喜んでいらっしゃると思います。
ファンの方のためにがんばっています。毎日撮ってアップして、は流石に難しいので、何十枚かを一度に撮影してきて、アップしています。旅行先、出張先にも連れていって、こぶうしくんファンの方にも旅先の雰囲気を楽しんでいただけたらと思っています。

ーこの間は、青森までお出かけしてましたね。年末近くなると、こぶうしくん人形を作っている様子がSNSにアップされますが、こういう手を動かすことや工作はお好きなんですか?
そんなことないんですよ(笑)。どちらかというと苦手なんですが、でもお客様に喜んでもらいたいという一心です。素人だから、いくらこぶうしくんに似せたところで販売はできないので、せめて福袋のノベルティになればなと思って作っています。

コブウシ土偶の特徴をよく捉えた、店長特製ノベルティこぶうしくん人形(すごくかわいい)
―手作りして気がついたことはありますか?
作ってみてはじめて、昔の人ってすごいなって気がつきました。粘土だって道具だって、今より扱いづらいものだったと思うんですが、コブウシの特徴をよく捉えて作っていて、コブウシへの思いを感じました。

こぶうしくんを通して、紀元前の人々へと思いを馳せることもできるんですね。ミュージアムショップ店長らしい、所蔵品への理解が深まるコメント、流石です!
これからもお客様の笑顔をのために、所蔵品をよく観察して、一丸となって楽しいグッズを作っていきたいと思います。みなさん、こぶうしくんにぜひ会いにきてくださいね!
【福岡市美術館ミュージアムショップ】
〒810-0051 福岡市中央区大濠公園1-6 福岡市美術館内
福岡市美術館HP https://www.fukuoka-art-museum.jp/
★休館日、営業時間は美術館に準じます
オンラインショップ https://fukuoka-art-museum.shop/
Comments