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【手わざを訪ねて】Vol.1 佐々木俊仁さん/ガラス造形作家① 

更新日:2023年10月17日

当社運営のミュージアムショップでお取り扱いさせていただいている作家さん、職人さんの手仕事にふれる読みものです。

 

●佐々木俊仁さんHPS glass studio

 

ショップを併設した、男の隠れ家のような「S glass studio」。

ガラス造形作家の佐々木俊仁(ささきしゅんじ)さんが、2019年に手作りで構えた個人工房です。

長年勤めた富山ガラス工房の近くに構えた「S glass studio」。手前にショップ、奥が制作工房です


「ガラスを溶かす溶解炉の設計、壺のサイズ、設備の配置、すべて自分の制作スタイルに合わせて作れるのが自作のいいところです」


今までの経験や他の工房を参考にして制作・アレンジした空間には、佐々木さんのこだわりが随所に。

自作の溶解炉。右が工芸用ガラス、左は板ガラスが溶けています


右手前から溶解炉、グローリーホール(再加熱炉)、マーバー台、徐冷炉と並び、 グローリーホールの向かいには作業ベンチがあります


ベンチの脇には、ガラスを切るハサミや形を整える洋ばし、パファーと呼ばれる吹き具、 細工用の大きなピンセットなどが置かれていました


溶解炉の中にはこのような壺が仕込まれていて、飴状に溶けたガラスの原料が入っています


特に、壺を二つ並べた溶解炉は佐々木さんならではの仕様です。 あえて小さめの壺にして、工芸用ガラスと板ガラスの2種のガラスを溶かしています。

工芸用ガラスは、佐々木さんの代表シリーズ「時の花」などを作るときに用いるガラス。 一方の板ガラスは、2022年から取り組んでいる建築用板ガラスの端材を再利用したブランド「Home」用のガラス。 今はこの二投流が佐々木さんの制作の軸となっています。

何百年の時を越えても感動が花開くようにとの思いを込めた、代表シリーズ「時の花」


「ちょうどこの工房の立ち上げと、コロナの第1波が重なったんです。 展示会は中止、委託販売先も休業になって、せっかく独立したのに作品を作る必要もなければ、収入もゼロになっちゃって…」 ならば、やってみたかったことをやってみようと、トライしたもののひとつが板ガラスを吹くことでした。工芸用ガラスに比べると、板ガラスは硬くて作業性が悪いため、手を出す人は少ない素材。それでもやってみると、淡く青みがかった美しい器ができあがりました。

廃棄されるはずだった建築用板ガラスの端材が、涼やかなグラスにアップサイクルしました


「ダメだと諦めずに、失敗は成功の元でやってみるのが良い気がします。

振り返ってみると、いつだってちょっと怒っていたり、何クソって思ったり、そんな開拓精神がエネルギーになりがちなんです」


工芸用ガラスで作るのは、グラスやお猪口など手の中に収まるサイズの作品が多いのですが、板ガラスを始めたことで建築や照明の分野にも仕事が広がりだしたといいます。

塊のオブジェは気泡がおもしろい表情を作り出しています


淡いブルーと地模様が、独特の雰囲気を醸すペンダントライト


「今はガラスの楽しさをもっと広めていきたいと思っています。 いろいろなことが繋がって、とにかく幸せな人生だと思っています」


そんなハッピーな人の作る作品に、魅力が無いわけがありません。 工房で作品を作る様子も見せてもらいました。 佐々木さんは軽やかに動き、手に持った竿の先には見る間に作品ができていきます。


*取材当日は土砂降りだったため少しノイズが大きいので、ボリュームにお気をつけてご視聴ください。

ガラスに色をつけたら、吹きに入ります。吹いては温め、竿をクルクル回して、 形を作っていきます。時には竿を上向きに回して、作りたい形に近づけます


最終成形の段階です。幾度も径と高さを確かめ、表面を撫でて整えます。 最後は竿から切り離し、徐冷炉で冷やします


時折、一瞬じっとガラスの状態を見極める時がありますが、それ以外は常に棒をクルクルまわしながら、グローリーホールと作業ベンチの間を行ったり来たり。 飴状のガラスが15分で器の形に変化していく様子も、それを扱う佐々木さんの手わざも、まるで魔法のよう。見ていて飽きません。


「時の花」の美しさを引き立てる透かし模様は、サンドブラストという技法で施されます。ある程度作品を作り溜めてから、まとめて最終加工して仕上げます。

工房の一角には、最終加工を待つ「時の花」の作品が並べられていました


展示会などで工房を長く留守にする時は、炉の火を落とすこともあるそうです。


「ガラスは生ものなんです。ずっと炉の火をつけていると、ガラスもガラスの入った壺も、壺の口を覆う蓋も劣化するんです。 きれいな純度の高い状態で保ちたいので、制作期間が空くときは炉の火を落とします」

壺の口を覆う蓋。端の方が熱で溶けて変形しています。 溶けたものが不純物として混ざると原料の劣化につながります


生ものを相手に自分のペースで作品が作れる個人工房を持ったことで、佐々木さんの手わざにますます広がりが生まれていきそうです。

ガラスについて話す佐々木さんはとにかく楽しそう。

持ち前のフロンティア精神でこれからも進んでいきます


次回は、佐々木さんとガラスとの出会いをうかがいます。

【ガラス用語解説】

工芸用ガラス:グラスや皿、花瓶などの生活用品やオブジェなどの美術作品を作るためのガラス

建築用板ガラス:建物の窓や展示ケース、ショーケースなどに用いるガラス

溶解炉:約1200〜1300度の高温でガラスの原料の珪砂などを溶かす炉

グローリーホール:作業中のガラスを温めなおすときに使用する高温の炉

マーバー台:ガラス種を転がして均したりする、厚い金属板の付いた台

徐冷炉:ガラスの内部にひずみができないよう、ゆっくりとガラスを冷ますための炉

作業ベンチ:ガラスの成形作業を行うための台。片側に座り、竿を渡して安定させて作業ができる サンドブラスト:ガラスの表面に砂(研磨剤)を吹きかけて、磨りガラスにする手法

 

<ショップからひとこと>

富山市ガラス美術館ミュージアムショップでは、富山市在住のガラス作家・佐々木俊仁さんの作品を、2023年9月1日から11月29日まで期間限定販売しています。 佐々木さんの作品は、富山市ガラス美術館のオープン当初から扱わせていただいており、人気の高い作家のおひとりです。色彩豊かで、軽やかさと存在感のある作品をもっと見てみたい! と思い、展示会のお声掛けしてご快諾いただいたのが去年の11月のこと。それから作品作りをお願いし、このたびの開催にこぎつけました。 佐々木さんの作品作りの様子やガラスに向ける想いに触れていただき、期間限定販売に足を運んでいただけたら嬉しいです。


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